散文ブログ『ちりぶみ』
数名による持ち回り創作ブログ。4のつく日(4・14・24)更新。
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SAFTY LOVE   (2007/08/16)
21のBirthday 二人きりになって
君を祝うのは 一人じゃないみたい
吐息のメインディッシュ 楽しむ前に
済ませて来たの どこかでオードブル

僕のこと 大好きだという
言葉にウソは 見当たらない
独りにされるのが かなり苦手な
臆病な君が選んだシステムは

Safty love どんな時でもalright
次の恋が 保障されてる
(You're)Tasty Girl 君だけを抱きたい
この僕がそばにいるのに

スィートルームでは 無邪気にはしゃいでる
ミモザ片手の 愛しい君は
手渡した花束と僕に
くりかえしKissをくれるけど
もしもの時のために だれかをKeep Back
淋しがりやな君のコンセプトだね

Safty love どんな時でもalright
次の恋が 保障されてる
(You're)Tasty Girl 君だけを抱きたい
この僕がそばにいるのに

(In)Safty love わがまま娘してなさい
次の恋も逃げてゆくよ
(You're)Tasty Girl 君だけ夢見たまま
そのうち そばにいてやんない









「さあ、入って」
慣れた手つきでドアを開け、女を招き入れる。
言われるままに足を踏み入れた彼女は、その部屋の中を見るなり、歓喜の表情を浮べた。
僕はドアをゆっくりと閉め、オートロックがかかったことを確認する。
「すっごーい……」
きらきらと輝く瞳に映るのは、窓一面に広がる夜景。
「すごい、この部屋。もしかしてスィートルームってやつ?」
窓際に小走りで近寄り、興奮気味に口を開く。白いワンピースの裾ががふらりと揺れる。視線はまだ窓の外。
「さあ、どうかな?」
仕事帰り。
重いブリーフケースをリビングのソファに置き、上着の内ポケットから煙草を取り出す。彼女が少しむっとした表情を見せたのは、期待してた言葉とは違う答えが返ってきたから、だけではなさそうだ。
「さっそく一本?」
「まあ、いいじゃないか。誕生日なんだから」
「誕生日なのは、あたし」
苦笑いをし、咥えた一本に火を点ける。
ジッポの音が静かな部屋によく響いた。



彼女と出会ったのは、半年前。
僕にとっては、仕事にも慣れ、安定した時期だった。だからこそ、退屈で、安穏と過ごしていたのかもしれない。変わらない毎日を繰り返していた自分にとって、彼女はあまりにも若くて、刺激的だった。
とうに三十路を超えている僕から見れば、十以上も年下の彼女はまさにコドモだったのに。
いつから、こんな関係になったのだろう。
はじめは好奇心だった。
ハタチという若さで、社会に飛び込んできた彼女。何を聞いても新鮮で、そして、眩しかった。
出会って2か月で、交際を始めた。他に男がいることには気付いていた。しかし何も言わなかった。
ひと回り以上年齢が違う相手に、どちらも本気になるはずがなかった。
期間限定の、お遊びの恋。



「シャワー、浴びてくるね。お風呂も広い」
部屋の中を散々見て回り、ひとしきり無邪気にはしゃいだ彼女は、当然のようにバスルームへと消えた。
僕は行っておいで、と声をかけ、大きなガラスの灰皿にトン、と灰を落とす。右手に煙草を挟んだままで、改めて外を見渡した。見事な夜景。
彼女には曖昧な答えを返したが、ここは紛れもないスィートルームだ。
50平米以上もある広さのリビング。薄暗い部屋のあちこちにある間接照明。そして、隣の寝室にはキングサイズのダブルベッド。“お風呂も広い”らしい。
ぐるりと部屋を回ったあと、受話器を取り、9をプッシュした。
バスルームでは、まだシャワーの音が聞こえる。
「もしもし。頼んでおいたものを」
それだけ告げると、受話器を置き、短くなった煙草を灰皿に押し付けた。



「すっごく気持ちよかったよ!お風呂からでも夜景が見えるんだね」
バスローブ一枚を羽織り、わずかに濡れた髪をアップにして、彼女が出てきた。薄化粧が、少し幼い。
「あとで一緒に入ろうか」
「うん」
笑いながら、リビングの窓際の椅子に腰掛ける。
「何か飲みたいな」
「はいはい、お姫様。ただいま」
言うと同時に部屋のチャイムが鳴る。
若いベルボーイが運んできたのは、きれいなオレンジ色したカクテルと、両手いっぱいの花束。
テーブルのセッティングを済まし、二人分のグラスを置いたベルボーイは、「ごゆっくり」と言い残し、部屋から出て行った。
「はい、まずはこれ。どうぞ」
「キレイ。すごい、こんなに大きい花束久しぶり」
“初めて”と言わないところが彼女らしい。
両手で持たないと抱えきれないくらいの花束をしっかりと抱き、花の中に顔をうずめる。カクテルと同じ、オレンジ色をした花に唇を寄せ、香りをかぐ。その仕草がまるでキスをしているようで、思わず見とれてしまった。
「じゃあ次。それ置いてこっちおいで」
僕たちは向き合って席に着いた。テーブルには、二つのグラスと、オードブル。
「これ、ミモザ?」
彼女が顔を輝かせて聞く。
「うん、君の好きなオレンジ色」
グラスを持ち、ゆっくりと持ち上げる。
「21歳おめでとう」
傾けたグラス同士が軽くぶつかり、カチンと鳴る。
二人はにっこりと笑い、夜の始まりを告げる音を聞いた。



――乾杯から、おそらく2時間は経っている。
テーブルの上のメインディッシュはきれいに平らげられ、デザートがほんのわずか残っていた。手に持っていたミモザのカクテルグラスはいつの間にかワイングラスへと姿を変え、場所もリビングのソファに移動している。
すぐ前にあるプラズマテレビからは、見たことのない洋画が流れていた。
うっすらピンク色の顔をした彼女は、ワイシャツ姿の僕の右腕をしっかり掴んで離さない。
「大丈夫か?」
「へいき、へいき」
そう言いながら僕の首に両手を回す。
そしてキス。さっきから、これの繰り返しだ。
彼女は気付いているのかいないのか、この2時間で5回以上、携帯電話の着信を知らせるために彼女のカバンが振動した。電話だかメールだか知らないが、きっと他の男たちからの「おめでとう」だろう。
だが別になんとも思わない。
他に何人いようが、今、こうして彼女は一緒にいる。
彼女が生まれた日に、二人きりで。
確かな、この愛しい気持ち。
「ネクタイがじゃま。とって」
黒とグレーのストライプのネクタイをギュッと掴みながら、彼女が大きな瞳で見つめてきた。
「はい、はい」
おとなしく従い、ネクタイをほどく。シャツのボタンを一つ外すと、目の前には彼女の満面の笑顔。
「んー大好き」
そしてキス。
僕のことを大好きだと言う言葉にウソは見当たらない。彼女の素直なキモチだろう。
でも。
「ずっと一緒にいてね」
鎖骨下にうっすら浮かぶ、覚えのないキスマーク。
どうしても見え隠れする、彼女のコンセプト。
「独りはキライなの」
淋しがりやで、臆病。
もしもの時のためにキープしている、誰かの影。
この僕がそばにいるのに。
彼女を祝うのは僕一人じゃない。
右手で彼女の頭を撫でながら、左手でグラスに残っていた赤ワインを一口含んだ。
「あたしも、もっと飲む」
「ダメ」
「飲む」
そう言うと、僕の腕からするりとすり抜け、空のグラスにさらにワインを満たす。
「わがまま娘」
「いーの」
彼女はぷいとそっぽを向き、そのままふらふらとベッドルームへ移動する。サイドテーブルにグラスを置き、両手を広げてもまだ余る大きなベッドに仰向けに転がった。
その姿を見ながら、僕は残っていたワインを一気に飲み干した。

保障されている次の恋、か。
だとしたら今ここにいる僕はなに。
すぐ替えのきく使い捨ての恋人か。
本気にならない、なるはずがない、期間限定の恋。
寂しさを紛らわすための、利用手段。
そう、分かっていたのに。
そのはず、だったのに。
「ねぇ」
ベッドから僕を呼ぶ、彼女の声。
おもむろに腰をあげ、シャツの袖のボタンを外しながらゆっくりと彼女に近づく。
左手にしていたシルバーの時計を外し、彼女のグラスの横に置く。
ベッドに腰掛けると、ギシ、とスプリングがはずむ音がした。
「ねぇ」
もう一度、呼ぶ声。
何かを求める、甘い声。
「その前に」
両手を広げる彼女を制し、じっとその潤んだ瞳を見つめる。
「ひとつ質問」
またわずかにすねた表情を見せ、彼女が首をかしげる。
「なに?」
不思議そうに僕を見上げる彼女。
僕は彼女の右手首をつかみ、いきなり覆い被さった。
口を薄く開け、目を丸くしている愛しい君。
おかまいなしに、言葉を紡ぐ。
「俺の次に準備している男は、どんなやつ?」
一瞬だけ。
彼女はおびえた顔をし、しかしそれはすぐに微笑へと変わった。
もう、酔いの気配は見えない。
強い力を帯びたその目で。
「――ワインが飲めない人」
数秒間、視線が絡まる。
唇を耳元に近づけ、彼女をくるむバスローブの紐を右手でほどきながら、僕も笑顔で言葉を返す。
「そろそろ、彼の出番かもよ」
「うそ。だってあなたがいるもの」
「さて、いつまでかな」
「ずっと。絶対に」
言いながら彼女は、空いた左手で僕のベルトに手をかける。
唇を重ねた。

こんなこと、続けていたら次の恋も必ず逃げていく。
そのうち誰もいなくなる。
君だけ、夢の中のお姫様のまま。

でも。
その時は、また、僕を呼べばいい。
君だけを抱きたい、なんて言えないけれど。


唇を重ねる。
繰り返すごとに深く。

――吐息のフルコースはこれから。
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この記事に対するコメント


こんばんわ。
ちりぶみでは最後の作品ですね。
こさめさんのB'z作品が読めなくなってしまうのは残念です。

今日、たまたまSafetyLoveを聞いていたので、びっくりしました。
なんか、ゾクゾクしました。とっても好きな作品です。
僕も、挑戦中ですがなかなか難しいですね。
これからも是非、どこかで続けてください(^-^
【2007/08/25 00:41】 URL | 畑山正人 #-


レスが遅くなり申し訳ありません(^^;
ゾクゾクしてくださってありがとうございます!
もうちょっと勇気があれば17禁くらいにはなったかもしれません(笑)。

挑戦中…ということはどこかに発表してるのでしょうか?
ぜひ読みたいです!
私もまた機会があれば、次回作に挑戦したいと思います☆
【2007/09/14 20:42】 URL | こさめ #-


>こさめさん

長野の地域SNS 「N」で公開してます。
夏は忙しくて、7月で更新止まってますが(--;
秋になって余裕ができたら再開したいですね~

よかったらご招待しますよ~
respect@avis.ne.jpに
メアド教えていただければご招待メール送れます(^^
【2007/09/15 21:19】 URL | 畑山正人 #-


お気軽にコメントをお書き下さい











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