散文ブログ『ちりぶみ』
数名による持ち回り創作ブログ。4のつく日(4・14・24)更新。
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『戦場の挽歌 ~荒野の二人~』   (2006/12/04)
「司令、ご報告します」
「ん、何事だ?」
「はっ。我が部隊の西に展開する部隊が撤退を始めました。これにより、既に後退し始めている東の部隊と共に、かなり押し込まれ、我が部隊だけ孤立してしまう可能性が出てきました」
「そうか…」
「司令、どうされるおつもりなのですか? 我が部隊も同じく後退した方が良いのでは…?」
「うむ…」
「司令、こうしている間にも、敵の侵攻は進むばかりです。周りをご覧下さい、暫く前までは周りに多くの味方の部隊が居たというのに、今では我が部隊しか居ないではないですか。孤立してしまうのも時間の問題です」
「孤立…か。怖いのか? 孤立が…」
「はっ、昨晩の戦闘でも、多くの犠牲を出しました。このまま孤立してしまっては、全滅してしまう可能性が高いのでは…」
「私は怖いのか、と聞いたのだ。孤立は怖いのか?」
「はっ、恐れながら申し上げますと…。私は孤立を恐れております。もちろん、もちろん戦場で恐れを抱くということは敗北を意味することだと分かっております。分かっておりますがしかし…やはり怖いのです。恐ろしいのです…」
「そうか…。恐ろしいか…。その気持ち、分からぬでもない」
「司令、では我が部隊も撤退するのですか?」
「撤退、か…。確かにここで撤退するのも賢明な判断やもしれん。無駄な戦いを避け、潔く負けを認めるのもある意味正しいのやもしれん。しかしな、私は思うのだ。負け戦と分かっても、微かな望みに託し、精一杯もがくのも、一つの答えではないかとな」
「司令…。しかし、しかしもはや我が部隊が持ちこたえたところで、戦局は何も変わらないのではないですか! 最前線で残っているのは我が部隊のみなのです!」
「ふっ」
「何がおかしいのですか、司令! 私はこの部隊のためを思って申し上げているのです」
「いや、なに。ものは考えようだと思ってな。私は今のこのような機会を待っていたかもしれん」
「…といいますと?」
「何もせずに撤退したのでは何の意味も無いではないか。これまでの歴史を振り返ってみろ。敗者は必然的に歴史からは消え去っている。唯一歴史に名を残しているのは、負け戦の中で最後まで戦い、そして華々しく散っていった者達ではないのか? 古代ローマのカエサル、スペインのフランコ将軍、そしてレッドリボン軍のブルー将軍。見よ、皆後生にまで名を残しているではないか」
「確かに、そうです…。し、しかし」
「私はな、司令官という位になった時に心に決めていたのだ。必ず歴史に名を残して見せる、と。もちろん、華々しい戦績で名を残せた方が良かったに決まっている。しかしそれは無理だった。だからこそ、今この機会を逃したくは無いのだ。私は、その為であれば自らが犠牲になることは恐れぬ」
「司令…。しかしだからといって、我が部隊全てを犠牲にしても良いというのですか? それではあまりにも他の者達が報われません…」
「そうだろうな…。だから私は無理に残れとは言わん。私の意志に共感した者だけが残れば良いと思っている。もちろん、その結果私一人になったとしても、それはそれで構わんのだ」
「司令、そこまで覚悟なさっているのですね…。わかりました。それでは私は他の皆にこのことを伝えに向かいます」
「うむ、頼んだぞ」
「司令…。何故我が国はこのようなことになったのでしょうか…? こんな屈辱的な敗戦を迎えなければ成らなかったのでしょうか?」
「……。それは、必然だ、今までの行いを顧みると、な…。我々はあまりにも無茶をやり過ぎた。その先のことを全く考えず、国中を無駄な思想、無駄な主張で染めていったのだ。この報いは、必然なのだよ。そうは思わんかね?」
「確かに、確かにそうでした。しかし、途中で過ちに気付き、正しい方向へ向かおうとしていたではないですか! あの努力は、あの血の滲むような努力は、報われないのですか?」
「何事も遅すぎたのだ。あのような施策は、結局は一時的な活性化にしかならん。所詮気休めでしかなかったのだ」
「……」
「さぁ、皆に伝えて来るのだ。意志無き者は去れ、とな…」
「…わかりました」
「うむ、それで良い」
「司令…、もし我々が抵抗を続けたとして、果たしてそれは国にとって意義を見出してくれるのでしょうか? それとも過去の施策と同じく、単なる気休めになってしまうのでしょうか?」
「それは私にもわからん。しかしこれだけは言える。我々の子孫達は、我々を誇りに思うだろう。そして我々も、最後まで誇り高く、生き抜き、生え抜けることができるのだ」
「わかりました…。私も、最後までお供します。例え、司令と私だけになろうとも…」
「そうか…。すまんな…」
「では、皆の所へ向かいますので、これで」
「ああ、頼んだ」
「はっ」
「……。認めたくないものだな……、若さ故の過ちというものを…。そしてこの、不毛なる戦いでしか見いだせぬ、自分自身の存在意義を……」

「おう、久しぶり。どうだ、最近?」
「どうもこうもないな。見て分かるだろ?」
「あぁ、久々に見たが、ひどいもんだな」
「このおかげで、この先真っ暗ってもんよ」
「まぁさ、世の中にはハゲ専って女だっているんだから、希望を持てよ」
「よく言うよ~、人ごとだからって」
「いやいや、ここまで立派な頭にはそうそうならないぞ。特にてっぺんの二本の毛! まるで波平かオバQか! って感じで」
「前まではまだM字ハゲで堪えてたんだけどな…。限界だったな」
「ま、歴史を振り返ってみると、偉人達にもハゲは居るじゃないか。特に気苦労が多かったのか、昔の将軍や軍人達ってハゲ頭が多かったらしいし。そう考えると立派に見えるじゃないか」
「うーん、そうかなぁ…」
「大体さ、昔から無茶してたんだから仕方ないと思うよ。あんなマッキンキンな頭にしてさ」
「いや、あれはロック魂や反骨精神の象徴であって、主張だったわけよ」
「じゃあ仕方ないね、オレから言わせれば、無駄な主張をしてたんだからさ」
「とは言え、途中からオレも気持ちを入れ替えて頑張ったわけよ。育毛剤使ったりとか? 海草食べたりとか?」
「でも手遅れだったわけだ」
「…そうなんだよ、結局」
「まぁ人生この先長いんだし、ひどい頭だったとしても、それを受け入れて生きていかなきゃならんだろ?」
「ああ、そうだな。それにさ、何だか最近、この二本に愛着が出て来たんだよ。最初は全てカツラで覆っちまおうかとか、いっそ抜いた方が潔いんじゃないかとか、そう考えてたんだけどな。今じゃいとおしい、とまでは行かないにせよ、誇らしいというか。『戦場で生き続けた二人!』って感じがしてさ」
「そっか。じゃあその二本も、頑張った甲斐があったってことだな」
「あぁ、今やオレの誇りだよ……」

風がぴゅーっと吹くと、男の禿げ上がった頭に残った二本の髪の毛は風に揺らいだ。その光景は、まるで荒野に佇む勇敢な男達のようでいて、そして何故だか誇らしげに見えた。




今回の作品は如何だったでしょうか?
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