散文ブログ『ちりぶみ』
数名による持ち回り創作ブログ。4のつく日(4・14・24)更新。
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ねむり   (2006/11/24)
 昨夜、僕は母さんに会いに行った。僕の姿を見て母さんはとても喜んでいた。僕らは特にこれといって変わったことをした訳じゃない。普通におしゃべりをして、ご飯を食べて、ただそれだけだったけど、母さんはとても嬉しそうにしていた。その姿を見ていた僕もなんだか嬉しくなった。
 明け方になる頃、僕が「帰らないと」と言うと、母さんは「もっとゆっくりしていきなさいよ」と言ってくれた。僕も帰りたくないけど、そういう訳にもいかない。別れの挨拶をすませると、僕は一度もふりかえらずに帰り道を急いだ。ふりかえったら、母さんのさみしそうな顔が目に焼き付いてしまうから。
 帰ってくる頃には、かなり空も明るくなっていた。僕はベッドに入って目を閉じた。陽の光が、まぶたを通り抜けてくる。もう、みんなが起きてくる頃だ。もうじき僕の体は動かなくなる。食事をすることも、声を出すことも、ねむたそうにあくびをすることだってできなくなる。
 そして今朝もいつものように、看護婦が点滴をうちに来る。僕の体はもう痛みを感じることもない。
 母さんのことを思い出す、昨夜会いに行ったときのことを。今夜、僕の体が自由になったらどこへ行こうか。ちょっと遠くまで行ってみようか。そんなことを考えて、時間が過ぎる。
 お昼を少し過ぎた頃、ドアをノックする音が聞こえる。誰だろう。
「お見舞いに来たわよ」
 母さんの声だった。
「体の調子はどう?」
 うん、いいみたい、と心の中で返事をする。
「ゆうべ母さんね、夢を見たの。夢の中にはあなたが出てきて、一緒にご飯を食べたの。元気なあなたの姿を見てたら嬉しくなっちゃって、それで今日会いに来たの」
 僕に向かって話しかける母さんの顔は、とても明るかった。やっぱり会いに行って良かった。近ごろの母さんは元気がなさそうだったから。
 夕方になって母さんが帰った。それと入れ替わるように、看護婦が点滴をうちにやってきた。みんなはそろそろ晩ご飯だろうか。陽の光はだんだんと赤くなり、やがて遠くの山へ消えていった。そろそろねむくなってきた。みんなはまだ起きてるかな。
 外はすっかり暗くなって、部屋の電気も消えた。さあ、今夜はどこへ行こう。ねむりにおちて僕の体が自由になったら、今夜はどこへ行こう。誰の夢に会いに行こう。








今回の作品はいかかでしたか?
コメントもお待ちしております。


 
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この記事に対するコメント

悲しい!
悲しいです!!
ショートショートとしてもかなり短い部類かと思いますが、とても良かったです。
自在に動ける夢の存在がより一層悲しさを際だたせていますね。
心を鷲掴みにされるような気がしました。
次回作も期待しています。
【2006/11/24 21:52】 URL | ロビタ #-

コメントが早いですな(^^)
 さて、UPもしたし、ブラウザ閉じよ、と思ったら早くもコメントがついていました。早い・・・。いやいや嬉しいかぎりです。
 ロビタ様、いつもご愛読ありがとうございます。
 体が動かない主人公にせめてもの自由を、と思って夢の中を自由に動けるようにしたのですが、かえってかわいそうだったかもしれませんね。
【2006/11/24 22:38】 URL | ナチュレ #-


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