散文ブログ『ちりぶみ』
数名による持ち回り創作ブログ。4のつく日(4・14・24)更新。
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Warp   (2006/08/14)
3年ぶりに話したって 違和感ないなんて
意外と僕らたいしたもんだ 感心しちゃうよ
見違えるほどに 人が成長するっていうのは
やはり時間がかかるもんだ やんなっちゃうよ

最新のNews 移り変わっても
笑える視点(ポイント)は同じ

ほんの最初の一声で スイッチが入り
時間も距離も あっという間に縮んでゆく
君さえよけりゃ あの時の答えを今言うよ
「きらいなわけないだろ」

忘れ物とりにきただけなのに もう2時間
そういう意味じゃ 少しだけ違和感あるかもね
今ごろCD1枚っていうのも変だし
そんなにじっと見つめるのも いってみれば変

ショートヘアは はじめて見たけど
シャツの色は 今日も白い

ほんの最初の一声で スイッチが入り
オリジナルの香りが 体かけめぐる
しびれながら思わず溜息がもれる 気づいたかい?
「きらいなわけないだろ」

要するに感謝の気持ち忘れて
僕ら 離れ離れになった
もしかしたら 忘れ物ってそれじゃないの?

ほんの最初の一声で スイッチが入り
時間も距離も あっという間に縮んでゆく
涙のあとさえもう 見えないその顔に
急に懐かしくて新しい微笑みが浮かぶ
君さえよけりゃあの時の答えを今言うよ
「いっしょにいてほしい」
「ずっと いっしょにいてほしい」

《Words by B’z「Warp」》






【久しぶり。そういえばまだCD返してもらってなかったよね。今から、行くから。 エリ☆】

 日曜日の午前中。
 けたたましい着信音に邪魔をされ、おぼろげな頭で無意識に開いた薄い携帯電話。くっつきそうになる瞳を無理やりこじ開け、ディスプレイに並べられた小さな文字を追っていく。
 一気に目が覚めた。跳ね上がるようにして、ベッドから起きる。まず、今何をするべきかたっぷり1分考えてから、バスタオルをひっつかんで狭いユニットバスへと駆け込んだ。


「お久しぶり、暑いけど、元気だった?」
 めったに鳴ることがない部屋の乾いたチャイム音のあとに、3年ぶりに聞くその心地よいアルト。
「あぁ。そっちこそ」
 あまりにも普通に話すものだから、自然と僕もつられて挨拶を交わす。
 かつて彼女はこの部屋に何回くらい来たのだろう。大学3年の時から付き合い始め、卒業しお互い就職してから1年足らずで僕たちは終わった。就職と同時に独り暮らしを始めたから、実際この部屋に来たのは数回くらいかもしれない。
 それでも、自然に靴を脱ぎ、自然に上がり、自然に(勝手に)冷蔵庫を開ける彼女を見ると、3年間の空白が嘘のようだ。まるで、昨日の夜普通にさよならしたみたいに。
「これ、さしいれ」
 差し出したビニール袋の中に、ジュースやらアイスやらお菓子やら。アイス、冷凍庫入れとくねと呟く彼女の手には、見事に僕の好みのものばかり。
「お、さんきゅ。…ってなんだよ、甘いのばっかりじゃん」
「文句言うならあげないよ?」
 キュッと唇を尖らせて、下から見上げてくるその顔は、あまりに久しぶりすぎて、思わず言葉を失った。


「部屋。あんまり、変わってないね。もっと汚くしてるかと思ってた」
 部屋の真ん中に、小さなテーブルが一つ。それを間に挟むようにして、僕たちは座っている。エリはキョロキョロと部屋を見渡し、そんな感想をもらした。
「お前が来るまでのちょー短い時間で、必死に掃除したんです。時間が足りなくて、まだ散らかってるけど」
「なるほどねぇ。でも、ああゆうものは真っ先に片付けるべきなんじゃないの?」
 え、と思って振り向く。にやりとした顔でエリが指差したその先は。
「げ、お前先に言えよ」
 うっかり、机上の片付けを忘れていた。慌てて“ああゆうモノ”たちをまとめ、机の引き出しの奥深くに入れる。昨日堪能した、桃色のDVD。
「好みは変わってないみたいね。ロングヘアのお嬢様系」
「うるせーよ」
 くすくすと、彼女が笑う。

――髪、どうしたの。 
 今日、エリを初めて見た時に、思わず声に出しそうになった。少なくとも僕が知るエリは、背中まである色素の薄い長い髪だった。いつもこの時期になるとアップにして、後れ毛をピンでまとめていた。それが、今、目の前にいる彼女は。
「エリ、ショートにしたんだな。初めて見た」
 僕のその言葉に笑顔を止め、少し驚いたような顔をして、彼女は控えめに「うん」、とうなづいた。
「夏らしくていいじゃん、涼しげで。似合ってる」
 その、白いシャツも。
 最後の言葉は口にしなかった。ショートヘアは初めて見たけど、シャツの色は今日も白い。エリに、一番似合う色。

 別れてから3年の間、僕たちは一切連絡をとらなかった。電話はもちろん、メールでさえも。お互いさよならを告げたあの夏の日から、別々の道を歩いてきた。そのつもりだ。でも、なんだろう。どうしてだろう。今、こうしてエリと話している。普通に。3年ぶりに話したって、違和感ないなんて、意外と僕らたいしたもんだ、感心してしまう。
「……で、CDだっけ」
「え?ああ、うん…」
「ちょっと待ってて。確か…まだあるはず」
「ねぇ、その前にお茶くらい出して」
 遠慮がない彼女の言葉。3年前ならここでケンカになるところだ。でも、今日は。
「はいはい。オレンジでいいですか、お嬢様」
「いいでーす」 
 手を挙げて、にっこり。くそう、不覚にも、可愛いと思ってしまう。

 オレンジジュースを二つ、グラスに入れてテーブルへ。コースターを敷き、一つを彼女の前へ置く。「ありがとう」と言いかけた彼女の口元が、ふいに違う言葉へと変わる。
「……まだ、持ってたんだ」
 懐かしさと驚きと、その目に映る微かな喜び。その揺れる瞳の色は、安心感とも見てとれた。僕はジュースを一口飲み干し、エリが持つそのグラスと同じ柄のグラスをゆっくりとテーブルに置いた。いつだったか、一緒に買ったおそろいのコースターと、ペアグラス。
「わざと割るわけにもいかないからな」
 上手に嘘を付く術(すべ)は、社会人になってから学んだ。そっけなく口をついて出た言葉は、「捨てられるわけないだろ」の裏返し。今、この場で出していいものか、少し迷ったけれど、彼女の態度があまりに自然で、僕も自然に二つのグラスを手にとっていた。
 エリは、懐かしそうにじっとグラスを見つめている。
「…で、CDだっけ。ちょっと待ってて」
「あ、いいの、そんな急がなくても。それより、仕事はどう?」
 立ち上がろうとした僕の腕を取って、少し強めに引き寄せる。そんな彼女の動作に抗えるわけもなく。僕はおとなしく定位置に戻った。

 それから、僕たちは色んな話をした。仕事のこと。学生時代のこと。共通の友達のこと。最新のニュースのこと。付き合っていた時のことも、少し。最初は、違和感なしに普通に話せる僕たちに自分で感心していたものだが、こう長く話していると、やはりなんだか違和感が生まれてくる。それは、話し方だとか、相手の反応だとか、そういうものじゃない。ただ忘れものを取りにきただけなのに、もう2時間が経っている。その、少しばかりの違和感。 
 あの頃と話題が変わっても、最新のニュースが変わっても、自分をとりまく環境が変わっても、笑える視点(ポイント)は同じ。そんなことがなんだかとてつもなく嬉しかった。
「変わらないね」
 ふと、エリが呟いた。
「やっぱり、変わってない」
 僕の顔をじっくりと見つめながら、ゆっくりとした口調で噛み締めるように言う。
「な…んだよ。お互い様だろ。3年しか経ってないんだ。そんなに急に変わらないよ」
「3年しか?」
 あどけない顔でますますじぃっと見つめてくる彼女の視線に耐え切れず、僕はごまかすようにぬるくなったジュースをすすった。
「そう。この歳になれば見違えるほど成長するってのはもっともっと時間がかかるもんだろう」
 ――無言。何も言わず、彼女はただ僕を見ている。
 僕は沈黙を恐れ、今朝メールをもらったときからずっと抱いていた疑問をつい口にしていた。
「何で、今ごろCD一枚?」
 突然のその質問に、少しムッとした表情を見せ、ようやく僕から視線を外した。あ、と思ったその瞬間、エリはものすごい速さで僕の隣に移動し、ガバッと僕の背中に両腕を回してきた。驚きのせいで言葉を発する余裕もなく、彼女の重さでバランスをくずす。そのまま後ろに倒れこんだ形になった僕は、反射的に彼女の腰に手を回していた。
「……分からないの?」
 僕の耳元で、僅かな怒気と、緊張と、そして確かな愛しさが交じった彼女の声が響く。
 一言。
 その、ほんの最初の一声でスイッチが入った。
 彼女の重み。香り。ぬくもり。それは、離れていた3年もの間、どれだけ焦がれたものたちだろう。考えるより先に、体が動いた。ゆっくりと、腕を背中に回す。その小さな体を包み込む。今はもう、あの頃の長い髪はないけれど。柔らかい茶色の髪は僕が撫でたものではないけれど。でも。変わっていない、あの時の彼女が、今、ここにいる。
 3年離れていたなんて、嘘みたいだ。時間なんて、距離なんて、こうして会って触れてしまえば関係ない。あっという間に縮んでいく。今、間違いなく、彼女は僕の腕の中にいる。
 3年前、僕たちは、お互い嫌いになって別れたわけじゃない。別れ話なんて、必要なかった。
(どうして、そういつも勝手なの)
 あの頃は自分しか見えていなかった。
(言ってくれなきゃ分からないんだよ…)
 隣にいるのが当たり前に思っていた。
(私に、どうして欲しいの?)
 素直に、なれなかった。
 
 彼女が僕にしてくれること。
 彼女が僕のためにくれる言葉。
 彼女が、隣にいてくれること。
 その「奇跡」は、いつしか「当然」に変わっていた。彼女を失ってから、初めて気付いた自分の傲慢さ。嫌悪と恥ずかしさで吐き気がした。 
 『傍にいてくれて、ありがとう』――言えなかったコトバ。
 もしかしたら、君の忘れ物って、これかもしれない。
(―――――の?)
 どうしても答えられなかった、君の質問。君さえよければ、あの時の答えを今、言うよ。
 腕に力をこめる。ギュッと抱きしめる。
「ん……」
「ごめん、もう少し」
 僕の肩が少し濡れている。今はそんな涙さえ愛しくて。
 彼女の香りが僕の全身を駆け巡り、思わず溜息がもれる。君に気付かれないように、そっと。
「エリ」
 名前を呼んだ。ただ、それだけのことなのに、愛しさが溢れてくる。僕の声に反応するように、エリの体がピクリと動く。
「いいよ、そのままで」
 自分でもびっくりするくらいの、優しい声だった。一度だけ、ふわりとその髪をなでて、耳元に囁く。
「ここに、戻ってきてくれて、ありがとう」
「いつも傍にいてくれて、ありがとう」
「俺のこと、想っていてくれてありがとう」
 エリの目を見ながらだったら、とても言えそうにない言葉。顔から火が出るほど恥ずかしい言葉の羅列だったけど、僕が今、どうしても言いたいこと。言わなくちゃいけないこと。
 そして、もう一つ。
「――エリのこと」
 一度、言葉を切る。意を決して。
「きらいなわけないだろ」
 言った途端にエリはパッと体を離し、まんまるの大きな瞳でまっすぐに僕を見つめてきた。
 まだ少し濡れているその瞳は、3年前とまったく変わらず、僕を映している。
 そして、今度はエリの方から、その言葉と存在を確かめるように強く、僕を抱きしめた。





     ☆☆☆☆



「――メールアドレス」
 サンダルをひっかけた玄関先の帰り際に、ぽつりとエリが言った。え、と僕が聞き返す。
「ずっと変えないでいてくれてありがとう。メールするの、これでもけっこう……、緊張したんだよ」
 涙のあとはもう見えない。にこっとしたエリのその顔に、懐かしくて、でも今までとは違う、新しい笑顔を見た。その愛しさに我慢できなくて、僕はもう一度抱き寄せてぎゅっとした。

 今日、最後に贈る、君への言葉。
「エリ」
 あの時のように、もう、嘘はつかない。

「いっしょにいてほしい」
 そう。 

「これからも、ずっと」


 小さくうなづいた、僕の愛しい人。
 部屋の真ん中にあるテーブルには、空になったおそろいのグラスが二つと、今日彼女に返すはずだった、古いアルバムが一枚、ある。
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この記事に対するコメント


あ~
いつかやってみたいと思ってたことを、
やってらっしゃる人がここに…

【2006/08/15 01:51】 URL | 畑山正人 #-

(*鰭)
(o`・ω・´o)bイィィ!すごうくいい!おもしろーい!男の子の後悔の部分や女の子の勇気すんごい共感できるよ~(>_<)三年って短く感じたり長く感じたり微妙な期間だよね~
【2006/08/16 12:50】 URL | 珠莉☆ #coBBpKVY

ふぅぅぅぅっ!!
すごくすごく良い!!
なんか、キュウンとしたと同時に、自分の恋愛に置き換えてしまい「奇跡」を「当たり前」に感じてボケーっと日々過ごしていることに気づきました

気づかせてくれてARIGATO
【2006/08/17 17:53】 URL | びぃ #-

キュン♪
すごくステキv-238
お互いがずっと想って
素直になれなくて 時間が 生活があって
気づかせてくれたんだね

私も長い付き合いなるので当たり前になってますきっと(苦笑)
次逢う時は素直な行動をしてみようと想いました(*´▽`*)アリガト
【2006/08/19 20:43】 URL | 葵 #-

(T_T)
私にも経験があります。
3年間では無いけど18年間…

お互い大好きな存在だったのに意地張って一緒になれなくて…
4年前に再会、本当に気持ちは同じだった

一つ違うのは彼女はもうこの世にいない…

22日は彼女の birthday!
大好きな彼女に逢いに行きます。
【2006/08/19 20:52】 URL | しげ #CzdYSI7A

みなさんありがとうです
>畑山正人さん
えーっと、はい、やってしまいました。
すみません…。

>珠莉さん
ありがとうです!三年ってホント微妙ですよね。過ごし方によってはあっという間だったり…。男女の関係では特にそう思うかもしれませんねぇ。

>びぃ姉
ありがとうです!やっぱり「♪二人努力を忘れたらすぐ腐るのが恋」ですね。

>葵さん
ありがとうです!どっちかが素直になれば二人で素直になれますね(^^)ステキな恋愛をして下さい☆

>しげさん
18年間ってすごいですね。「絆」の深さを感じます。あさってが22日。彼女さんも喜ぶと思います。
【2006/08/20 21:09】 URL | こさめ #-


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