散文ブログ『ちりぶみ』
数名による持ち回り創作ブログ。4のつく日(4・14・24)更新。
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    [プロフィール作成中...]


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〒ν八℃   (2006/03/14)
















テレパシーは届きましたか?
もし届きましたら下のバナーをクリックする事でテレパシーを送り返して下さい。よろしくお願いします。

 四角形にマウスポインタを載せるとテレパシーが受信できるっていう仕組みですが、「そんなのめんどくさいよ。イチイチやってられっかヨこのボケナス」と不平を鳴らす方も居らっしゃると思います。「ケータイからのアクセスだと解らないヨこのボケナス」と不満を漏らすモバイル族の方も御座居ますでしょう。そんな方々のために、原文をご用意致しました。なるべくなら少しずつテレパシーを受信して欲しかったのですが、手っ取り早く読みたい方は下記の文章をご覧下さい。どうせ大した内容ではございません。
 しかしボケナスは言い過ぎだと思います。ちょっと傷つきました。厳重に抗議しますよこのボケナス。


 紫の闇に沈んだ俺の肌には明滅する光がチラチラ反射している。水堀を隔てた城外で、俺は城の燃えるのをただ見つめた。芝生の上に座って。巻き上がる煙がシダ植物のように石垣を這い回るさまを。
 盛んな火炎が天上の星を掴もうともがく。まるで城壁の中は池になっていて、火がその水に溺れているような景色だった。苦しみ暴れる大紅蓮。城内に残っている者たちは猛り狂う濁流に飲み込まれ、八方から迫る超高熱の怪物に骨まで食い荒らされているだろう。阿鼻叫喚地獄が石垣を透かしてこの目に見えて来るようだ。
 王の取り巻きたちは逃げ惑い、階段の下で折り重なる。王妃の身の回りの世話をする召使いたちは煙に燻られ卒倒する。大臣は黒焦げになりながら神の名を連呼する。城の警備に常駐する兵士たちは大慌てに重き鎧を脱ごうとするが、熱を帯びた金属が肌に吸い付いて蒸し焼きとなる。古くから厨房を任されていた料理人は丸焼きの肉塊に成った。掃除夫は熱さの苦しみに歯を食いしばり、有りったけの顎の力で奥歯を粉々に噛み砕く。王子は激しく燃焼し、白い部分が見えるほどに炭化した。王妃は生焼けの皮膚を引きずりながら悶えている。そして俺の同僚の庭番は堅く閉ざされた鉄の門扉を叩きに叩き、ここから出してくれと哀願しながら死んでいく。彼らの断末魔の咆吼が夜空を赤々と焦がす。
 城に住む者どもの死に様を、ひとりずつ、一人ずつ、眼前に浮かべる。目を背けたくなるような悲惨な光景だったが、俺は恐れずに凝視し続ける。慈しむように、また、詫びるように。寸毫も揺らがぬ明鏡止水の心境で、静かに、穏やかに、想像の目を城内に巡らせる。
 俺は秋の収穫祭を物憂げに思い出した。木々は手入れされ、城内は花で満ち、この日だけ特別に商売を許可された露店が軒を連ねた。城下町の住民が続々と訪れ、大地の恵みに感謝し、幸せな祭日を祝った。そして、前庭に設けた天幕の下に座す聡明なる我が主君ツメラルウクス王に貢ぎ物を捧げて行った。
 人民が次々に王と謁する中、或る小麦商人が少女を同伴して接見に訪れた。少女は商人の娘である。その美しさに目を留めた王は少女を近くに呼び寄せ、吾が妾になれと耳打ちした。
 少女は請うような目で父を見る。父はただ黙って大きく頷いた。父の点頭に万事を悟った少女は、王の方に向き直って恭しく頭を下げる。王は初老らしい笑みに唇を歪め、五日以内に準備を整えて城に越してくるよう命じた。商人親子は深々と一礼し、御前から引き下がった。
 天幕の飾り付けを直していた俺は、事の顛末を耳にしてしまった。王の側室となるのだ、この少女は。俺が城の庭番になる前から妹のように可愛がっていたこのエイルロポータは。祝福すべき事ではないか。エイルロポータは城に住まって何不自由なく暮らす。彼女の父である小麦商人は王家御用達の特権を得る。我が尊敬すべき王は愛人を得る。素晴らしい事ではないか。しかし何だ、この気持ちは。俺のこの魂の震動は。
 俺の瞳の中で炎が燃える。化け物のように燃え盛る火柱が俺の目には映っている。眼前に火柱が立ち上がった。陽気な笑い声で活気づいたあの日の城は、今や昼のような明るさで過激に炎上している。
 小石をつまんで水堀の中に放った。ひとつ、またひとつ。ぽちょん。ぽちょん。井戸の底から響くような淋しい水音が深い場所から聞こえてくる。
 王の求愛から三日経った黄昏どき、エイルロポータは俺の家の戸を叩いた。戸を開けると、ただ俯いて突っ立っていた。口を聞かない。もうすぐ王様から寵愛を賜るんだな、おめでとう、と声を掛けても何も答えない。とりあえず家の中に入れと勧めてみても首を振るだけ。首を振った拍子に彼女の顔の辺りから何か光る物が落ちる。不審に思ってエイルロポータの顔を覗き込もうとすると、彼女は泣き腫らした目で俺を見た。そのまま立ち去った。
 そこで俺は、全てを諒解した。エイルロポータ。君が望むなら、俺は喜んで禁忌を侵そう。君が救われるなら、神にも背こう。幸せを君に運ぶのが天使でなくて悪魔ならば俺は喜んで魂を売る。

 俺のこの告白は、誰に届くとも知れぬ秘密の懺悔。遠い国のどなたでも良い。俺の悔恨の念を受け取ってくれ。受け取って戴ければ、心の重荷が少しは下りるから。
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この記事に対するコメント


デジタル媒体ならではの仕掛けがよいですね。
やっぱり散文「ブログ」をやるからには、紙媒体ではできないことをしなければね。
さすがです。
【2006/03/16 03:26】 URL | ヤマグチ #-

ありがとうございます!
 本来はもっと前衛的な作品となる予定でしたが、紆余曲折あってこのカタチとなりました。
 当初の計画は「まったく文字を書かない」という物でした。大きな空白の末尾にたった一行「各自テレパシーを受信して下さい」とだけ書こうと考えていたのです。しかしそれはいくらなんでもひどすぎると思い直し、現在の形式に落ち着きました。
 白一色の作品も相当刺激的だったと思いますが、考えを改めて正解でした。なぜなら好意的な感想をいただけたから! 嬉しい!
【2006/03/16 21:39】 URL | 大塚晩霜 #-

描写が
芸術的♪
読んでて想像できます。
悲しい御伽噺のようです。
と、言う前に…
説明がなかったら私にはテレパシーが受け取れませんでした。
すげ~手法!!
びっくりです
【2006/04/03 15:53】 URL | arty #-

これすごっΣ(・Д・)
ほんとにテレパシーですね。

それにしても、本当に悲しい・・・。
ほんの少し、誰かの行動が違っていれば、あのまま時が進んでいったかもしれないのに。

彼の残していった思念、確かに受け取りました。
これで少しでも、彼の心が救われるなら。
【2006/04/07 02:34】 URL | まろ #-

おへんじ
→artyさん
テレパシーを受信してくれてどうもありがとうございます。本当は書くつもりじゃなかった説明、書いておいてよかったです。四角ばっかりじゃ意味不明ですもんね。(笑)
私は音楽からインスピレーションを受ける事が多く、この作品もSlapp Happyというアーティストの曲「King Of Straw」の歌詞から着想を得ています。こんな歌詞です。(抜粋)
「私達は 隠された事柄について語った
それは法に背く行為だった
今夜 私達は麦わらの王を燃やす
あなたの道を照らすためなら 私はどんなことでもする
あなたへの信頼を示すため あなたの嘘も全部信じよう」
小説の内容とは少しずれますが、この歌詞を聴いて、城の炎上する情景が浮かんできました。パクリ好きですみません。
次回も頑張ります。打倒金閣寺!(←?)


→まろさん
コメントありがとうございます。ものすごく嬉しいです。特に顔文字に感激しました。驚かせることができて大満足!
遠い世界(もしかして地球外?)・遠い時代(ひょっとして未来?)からのテレパシー。届いたようでなによりです。このあと国はどうなったのか、彼はエイルロポータと結ばれたのか、このコメント欄に届いた【返事のテレパシー】を受信した彼は何を思うのか、それは知るよしもありません。しかし、テレパシーが通じた事に関しては手放しに喜んでいると思われます。少なくとも、作者の大塚晩霜は狂喜しています。改めて、ありがとうございます。
次回作もアッと驚くような手法の作品を用意します。すでに少しずつ書いてますが、おそらく『ちりぶみ』史上最長の作品。ルイス・キャロルの世界を【読者】がさまよう、読者参加型のメタフィクションです。乞うご期待。
【2006/04/08 01:20】 URL | 大塚晩霜 #-

お久しぶりです。
名前でわかるでしょうか?ちょっと心配なのでアド張っておきます。
しかし本当に人が考えないようなことをやってくれますね大塚さん!最初どうやって読めばいいかわかりませんでしたよ。
またもうひとつの顔も見せてくださいねD・・・・・おっと!!!!!
 
 
それではでは・・・・
【2006/04/11 17:14】 URL | 北原優柔不断。 #-


 ども。こちらの作品も読ませてもらいました。

 先の作品の発想にも驚きましたが、今作の妙案の具現体(それでいてテレパシー)にも惚れ惚れします。

>しかし何だ、この気持ちは。俺のこの魂の震動は。

 とかく格好いい表現でした。なにか「声」や「音」を連想し、しかとテレパシーを聴き取りました。
 
 こうも五感に訴える作品を書かれると、痺れます。
 
 自分のブログから、是非ともリンクを設けさせて下さい。
 また読みにきます。
【2006/05/18 15:42】 URL | ヨーノ #-

おへんじ
→北原優柔不断。さん
ありがとうございます。しかし事前に「ハリウッド仕込みの演技でスルーして置いて下さい」とお願いしたはずですのでお返事は差し控えさせていただきます。あしからずご了承ください。

→ヨーノさん
『16小説交響詩』に引き続きのコメント、深く深く感謝いたします。
 正直この作品がこれほど好評を博すとは予想していませんでした。「作者の思い入れと一般的評価は必ずしも比例しない」という事実を証明する絶好のサンプル。いささか戸惑っています。
 こんなこと、ここで明かすべきではないかも知れませんが、ヨーノさんだけに思い切って白状してしまいます。この作品、実はあんまり気合いが入っておりません!(うわー、言わなくていいこと言っちゃった)
 本作『〒ν八℃』と、同日発表の『究極のおばけ屋敷』。この2作の総制作時間を合わせても、なななんと、9月14日『エミリーとカレーライス』の制作時間の半分くらいないのです。(『エミリーとカレーライス』が超難産だったというのもありますが)
 ですから、誉めていただくのはありがたいけれど少し気が咎めるというか、もったいないお言葉というか、ちょっと照れくさいというか、良心の呵責に苛まれるというか、うふふ。(←結局うれしいらしい)
 結論。ヨーノさんのコメントに感動し、言わなくて良い事をベラベラ暴露してしまいました。舞い上がりました。まいりました。これからもよろしくお願いします。
【2006/05/20 01:03】 URL | 大塚晩霜 #-


>実はあんまり気合いが入っておりません!

マジっすか!?
じゃあ取り繕うよう思いっきり笑っておきますw
【2006/05/20 21:33】 URL | ヨーノ #-


お気軽にコメントをお書き下さい











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