散文ブログ『ちりぶみ』
数名による持ち回り創作ブログ。4のつく日(4・14・24)更新。
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適正   (2005/11/04)
「それでは今日は皆さんに『適正テスト』を受けて頂きます。」
楽しくさえずる小鳥のように美しい声に目を覚ますと、僕は真っ白な机の置かれた、そして真っ白な壁に四方を囲まれた小さな部屋の中にいた。

30cmほどの彼女は鮮やかな若草色のスーツに身を包み、その白い机の上に立っていた。
――まるで雪中から芽吹くフキノトウのようだ――などと見たこともない光景を僕は思い描く。

白い壁と家具は、これから行われる『適正テスト』に影響を与えないよう配慮されたもので、彼女の若草色の服と表情そして声のトーンは、僕らの緊張を解すために特別に調整されたものなのだそうだ。
そう、彼女はコンピュータが作り出した仮想人格、仮想人間だ。
とはいえ、注視してもそれは僕らとなんら区別はつかない。完璧過ぎて機械的という欠点すらない。ほんの少し声のトーンにゆらぎを持たせたりして人間味を出すよう厳密なプログラムがされているらしい。

彼女はその素晴らしい声で、滔々と『適正テスト』の説明を始める。
・問題は二者択一。
・問題数は1000問。
・回答時間は1問3秒。
・途中200問毎に3分の休憩を挟む。
・全問回答必須。回答し損ねた問題数の分、追加問題を行う。

要約すればそんなところだ。
時間にして約1時間といったところだろうか。
この1時間で僕の未来が決定する。
職業だけではない。住むべき場所、生活スタイル、友人、家族、結婚相手…。

時は22世紀。
過去の人間が見たら楽園だと言うに違いない。
この世界は3台のコンピュータが全てを支配し決定している。
森羅万象全てが公平に判断され、戦争も差別も国家も過去の遺物となった。
まさに人類の英知の結晶と言って良いだろう。
そのコンピュータが考え出し、始まったのがこの『適正テスト』だ。
社会不適合者と見なされれば『教育』の延長もあるらしいが、素晴らしい『教育』を受けている僕達からは、そんな者はでるはずがない。

テストが始まった。
純白の机上に文字が書き出されていく。

第一問『あなたは赤色が好きですか?』
…NO
僕は机上のボタンを押す。

第二問『目の前に階段があります。あなたは上りますか?』
…YES
僕は机上のボタンを押す。

第三問『あなたは左右どちらの道を進みますか?』
…右
僕は机上のボタンを押す。

最初は簡単な心理テストのような質問が続く。

第二百十七問『あなたは車が好きですか?』
第三百五十二問『あなたは物語を書くことに興味がありますか?』
第六百九十問『あなたは妻を必要としますか?』
続いて具体的な好みに対する質問。

最後の百問は、果たしてそれが絵なのかどうかすらわからないものを見せられ、YES/NOを問われる抽象的なものだった。

そして答え損ねた十五問分の問題を追加で回答しテストは終了した。
机上に彼女が現れ、にこやかな笑顔とともに「おつかれさまでした」と軽く頭を下げる。
そして結果が出るまで15分ほどお待ちくださいと告げ、彼女は姿を消した。

これで僕の将来が決定するのか。
少し緊張してきた。
いったいどんな人生になるのだろうか。
様々な想像、空想が頭を駆け巡る。
しかし、もうすぐその答えが、目の前に提示されるのだ。

結果が出た。

おお、僕は画家になり、K子という女と結婚するそうだ。
絵はそこそこに売れ、どうやら死後には爆発的な人気を誇るらしい。
その他色々とあるが、まぁ割愛させて貰おう。
そろそろ忙しくなる時間だ。

これから母となるべき人の胎内に移植され、産まれ出る準備をしなければいけない。
あと二週間もすれば、幸福という名のレールが引かれた楽園に産み落とされる。
レールの通り走っていけば、幸せになれるのだ。これほど楽なことはあるまい。

さて、ではそれまで一寝入りさせてもらうとするかな。
僕は体を丸める。
200本のコードが繋ぐガラス張りの我が家の中で、僕は健やかに眠りに落ちていった。





新作いかがだったでしょうか。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学




この記事に対するコメント

すばらしい
くそつまらねー!

…いえ、「作品の内容が」ではありません。「イレギュラーの無い人生が」です。型にはめられた、結果のわかっている未来。くそつまらないですね。

非常に面白く読了いたしました。web占いや性格判断の心理テスト(エゴグラム?でしたっけ)への痛烈な諷刺にもなっているように感じます。
【2005/11/04 21:31】 URL | CameLieOn #-


おもしろかった!!!!のでコメントさせていただきました。
ラストが好きです、まだ産まれる前だったとは…!!
いやぁ~良かった。
【2006/04/01 13:41】 URL | arty #-


CameLieOnさん、artyさん、コメントありがとうございます。

諷刺、皮肉をこめたこの作品ですが、もすこしメリハリを付けたかったな~というのも本音だったり^^;
でもオチは自分でも気に入ってます。
ちょうどマトリックスをみたあとだったので、読み返してみるとそんなフレーバーも感じますね(笑)

読んで頂きありがとうございました!
これからもちりぶみともどもよろしくお願いします!!
【2006/04/05 21:50】 URL | P助 #tZDc9YLU


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